長命草

長命草

投稿日:2016年11月21日
八重山諸島・竹富島の「種子取祭」に行って来ました。
年に一度行われる農耕儀礼であるこのお祭りは、
約600年もの歴史があり、
国の「重要無形民族文化財」に指定されています。
神々に奉納される、舞踊や狂言など80もの伝統芸能の
数々は、一つ一つの完成度が非常に高く、
神聖な文化を大切に継承し続けている島の皆様の真摯な想いが伝わって来ました。

鮮やかな花々のあふれる赤い煉瓦の家々には、豊かな庭が広がり、その片隅にはせり科の美しい植物である
「長命草」(ボタンボウフウ)を多く見かけました。
聞けば、健康長寿を祝う儀式や、航海の安全を祈祷する
神事に用いるほか、
乾燥粉末にして料理やお菓子作りに利用したり
日常的に摂取しているとのこと。
永らく医師不在であったというこの島では、薬草を生活に取り入れる知恵が生まれたのでしょう。
化学的にはルチンやクロロゲン酸などのポリフェノール
をふんだんに含み、海水由来のミネラルやビタミンが豊富な素晴らしい薬草ですが、そのことが判明するずっと昔から、賢く生活に利用してきたことに感動しました。
八重山諸島に自生し、移動することが出来ない植物は、
降り注ぐ灼熱の太陽光による酸化に負けない力を蓄え、
健気に島の人々の生活を支えているのです。

種子取祭で中心になっていらしたのは、沢山の長老の皆さまでした。「おじい」「おばあ」と皆から親しまれ
各分野で大活躍する柔らかい笑顔に、古き佳き日本の原風景を堪能しました。
早速「長命草」の乾燥粉末をお土産に調達し、
創作菓子を作って、私の周囲の高齢者にもお配りしたいと思っています。














最新の記事一覧