ブルボンバニラ

ブルボンバニラ

投稿日:2012年07月10日
冷たいデザートが特に美味しい季節となりました。
みなさまお元気でお過ごしでしょうか。

今日は、アイスクリーム、プリン、カスタードクリームなどに欠かせない香料、バニラについてお話します。

私がお菓子作りを始めた幼少時は、バニラエッセンスなる小瓶に入った液体を使うのが普通で、初めて本物のバニラビーンズ入りのアイスクリームと対面した折には
「黒いゴミが沢山入ってる!」と騒いでしまった恥ずかしい思い出がありますが、今では本格派フランス菓子の大量上陸に伴って日本でも大分浸透してきました。

バニラはメキシコ地方を原産とするラン科の常緑つる性草本植物で、コロンブスの新大陸発見により欧州にもたらされましたが、いち早くその栽培に目をつけたのがフランス人で、自国の植民地のなかで気候的に南米に近いレユニオン島に移植し、人工栽培を行いました。
その後、マダガスカル、コモロ諸島にも広まり、大生産地となり、フランス本国に沢山のバニラが比較的安価にもたらされるようになったことがきかっけで、バニラを使ったお菓子が数多く作られるようになったというわけです。
現在では、フランス海外県・レユニオン島、マダガスカル、コモロ諸島産のバニラを「ブルボン種」と呼び、特にレユニオン島産はAOC(アペラシオン・コントロール)という品質管理の最高基準の名声を得て、世界に誇る最高級バニラとして珍重されています。

バニラの果実は、収穫されたままでは芳香はなく、採取後キュアリングという熟成発酵期間を経て香りの主成分Vanillinヴァニリンを生み出します。
果実中の配糖体が発酵作用によってヴァニリンに変わり、芳香を放つのです。果実の表面に析出するのがヴァニリンですので、表面積が広いほど香りが良い、つまり、さやが太いほうが良品といえます。

そして、バニラはかつて医薬品として扱われていた歴史がありました。得もいえない甘く魅力的な芳香は神経を休め、落ち着かせる効果があると言われています。
「ヒステリーや月経不順に」などと記載がある文献も
存在する!?ようですから、経験的にリラックスが必要な場面で活躍してきたのでしょう。

また、バニラの芳香は、砂糖の甘さを引き立てる相乗効果があるため、砂糖減量のための立役者としても優秀です。この夏は、バニラを上手に利用して、リラックス&低糖デザートを楽しまれてはいかがでしょうか?








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