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ラベンダーの語源をたずねて 1 (2009年06月27日)
今でこそ、南フランス、リュベロン山系東部には、観光用の「ラヴェンダー街道」が広がり、美しい紫色と甘くさわやかな香りで人々を魅了していますが、中世の頃、医薬治療の中心だった修道院で、ラヴェンダーはその優れた殺菌効果から貴重な薬品として栽培、汎用されていました。当時のペスト流行の大疫に際して、大気を浄化するためにラヴェンダーを焚き上げたことを筆頭に広く使用されていた事実からもその様子を伺い知ることができます。ラヴェンダーを慈しんで育て、刈り取り、そして病んだ人々に施す、そのすべてが修道士たちの聖なる労働であり、薬と祈祷が治療の両輪であったことを感じます。

今、南フランスはラヴェンダーの最盛期。ということで、1148年創建後、宗教戦争をきっかけに一度は活動を休止したものの、1988年から盛んな活動を再開し、祈りと労働だけという中世さながらの規則正しい修道生活のなかでラヴェンダー栽培を継続している「セナンク修道院」を訪ねました。

Avignonから東へ30km、16世紀の城が高地にそびえる古い村、Gordesに着きます。ここからさらに北に4kmヴォークリューズ山塊に分け入る急な斜面に付属する県道を行くと小さな渓谷を見ますが、その先に、壮大な紫色のラヴェンダーの畝畝とロマネスク様式の美しい塔が感動的にたたずんでいます。これが「セナンク修道院」です。

「貞潔」「清貧」「孤独」を実践するシトー派に属するこの修道院は、神のみもとに近付くための「家」を飾り立てることを禁じたために、修道院内にはステンドグラスや彫刻、祭壇画などは皆無ですが、彼らが自分たちでひとつひとつ石を積み上げて築いたという粗い壁肌は不思議に滋味深く、簡素でありつつ気品ある美しさが漂っています。

また、併設のブティックでは、修道士たちが丹精こめたラヴェンダーとその製品を入手することができます。
ドライ・ブーケやポプリをはじめ、精油、石鹸、リキュール、ラヴェンダーの花から採取したはちみつに至るまで様々に変化したラヴェンダーたちが、誰かを癒すのを待っていました。

ラヴェンダーが古代ギリシャの文献上に登場したのが紀元前4世紀、テオフラストスの植物誌の中にiPHYONというギリシャ名で記載されたのが最初と言われ、その後、中世ローマ人の医療知識の向上に伴って、公衆浴場の殺菌や防虫のために洗剤の香りとして利用されたことから、ラテン語のLAVO(洗う)やイタリア語のLAVANDA(洗い物)などがその語源とされていますが、セナンク修道院で、修道士たちが日に4〜5時間にも及ぶ祈祷、瞑想を行うのと同じ意識で勤しむラヴェンダー栽培の賜物であるこれらの製品すべてに、彼らの純真な心が宿り、更にその力に精気を与えて、名実ともに芳しく洗い清められるのを感じたのでした。
























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